2020-06

無常の花

無常の花・22

 代々木体育館をあとにして、病院に来た。 貴洋の具合は良好だ。もう呼吸器も外れていた。
無常の花

無常の花・21

夜九時頃になって、車のヘッドライトが道を照らした。闇と同化するように車体は見えない。  その車が去ったあと、黒塗りの車が停めてあった場所へ移動したがその姿はない。先程の車がそうだったんだと確信した。
無常の花

無常の花・20

 次の日も、その次の日も、突然、孝太から電話が来なくなった。  続けばいいのに、幸せな時が。なぜ、とどまってはいられないんだろう。なんで、幸せのあとには悲しみがやってくるのだろう。幸せが去ったあと虚しくなるのなら、おれは幸せなんて欲しくない。
くまの熊野

くまの熊野・3

 家に帰ると「せんぱい、先お風呂入ってきなよ!」と、スーパーの袋からジャガイモを取り出しながら言うので、熊野の言うとおり風呂に入ることにした。しかし、ぬいぐるみが料理なんてできるのだろうか。ぬいぐるみの大きさは50センチくらいなので、小型犬と同じくらいの大きさだとしても包丁とかちゃんと扱えるのだろうか。
無常の花

無常の花・19

 夕闇の中、孝太の唇をなぞる。かさついた感触。  うっすら目を開けて、見下ろす角度でおれを見つめるまなざしがあった。おれの前髪を手ですいて、顔が見えるようにかき分けた。髪にキスを落としてくる。
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