【おれとお前のラブゲーム】5・ついついで友達のちんこなめんじゃねーよ

おれとお前のラブゲーム

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5・ついついで友達のちんこなめんじゃねーよ

 

友達なのに! 友達なのにこんなことするなんて、ひどくないか? 二度と元には戻れないかもしれないのに、そんなつまみぐい的な軽いノリで、ひどくないか?

 

「帰れよ……」
「悪かった。ついついお前が可愛すぎて」

 

死ね。全然嬉しくないんじゃ。ついついで友達のちんこ舐めるアホがどこにいるんだ。
おれが無言でにらんでいると、突然扉が開いた。

 

「おーい、アホあゆむードラゴンボール貸してー……あ、ケンジじゃん! ん? こいつ、どーしたの?」

 

のぞむめ、いつも入るときはノックしろっつってんのに、何で日本語通じねえかな、こいつは。とりあえず射精後で助かったぜ。

 

「なんでもねえよ!」
「あー、勉強するのが嫌で泣いてるのか! 我が弟ながら情けねーな!」

 

そんなアホ兄は、ありえん理由に納得し頷いている。おれは幼稚園児か。

 

「そーだろ、ケンジ」
「まあ、だいたいは」
「うそこけ! うるせえんだよ人の部屋で! 出てけ、出てけよ!」

 

そう叫んだ後は、のぞむとケンジを押し出して鍵を閉めた。

 

「何あいつうー」
「頭痛がして、熱もあるらしいです」
「あいつは昔っから熱が出ると泣き出す奴だったからなー」
「わかります。末っ子ってわがままな奴が多いですよね」

 

おい、今更そのウソ肯定すんのか。のぞむもウソつくな。言いたい放題だな。

 

 

次の日、追試はもちろん赤点で、おれは放課後補習をしなければいけないことになった。まあ、ちょうど良かったよな。あいつと帰らずに済むし、二人きりにならずに済むし。

いつもなら出たくもない補講だが、今回は真面目に出席しているので先生も驚いていた。「先生嬉しいぞ! お前がやる気になってくれて!」なんて言っているのを、右から左へトンネルしつつケンジのことを考える。

あいつのことを怖いと思った。いつも冗談でど突き合いをしていたが、あいつがあんなに力があるなんて知らなかった。今まで、おれと同じくらいの実力を装っていたのだろうか。おれがアホだから気付かなかっただけなのだろうか。

……そんなのバカにしてるぜ。あいつなんてもう知らねえ。5組のなんとかと7組のなんとかみたいに、そう簡単にすぱんすぱん、いやんばかん、なんて叫んでたまるかってんだ。

 

 

「おれはな、男の中の男になりてえんだ!」

 

 

帰り道の途中にあるてっぺいの家に寄って、一部始終を、いや、ちんこを舐められたことはなんとなく濁したがとりあえず話してみた。

 

「んー、俺は気付いてたけどね、ケンジがお前より全然強いこと。だってケンカのとき、お前は自分のことばっかで見えてなかったかもしんないけど、明らかにケンジが倒した敵の数は俺たちが殴った数より多かったって。それに結構お前のこと助けてたぞ」
「んなわけねーよ!」
「ほんとだって。俺、カウントしてたもん」
「うそつけ! お前までケンジの味方をするのか。そんなこというなら、おれがケンジより強いってとこ見せてやるよ! いいか、おれは今からY校のやつらと勝負をする。おれ一人でみんな吹っ飛ばしてみせようじゃねえか!」
「あ、あゆむ、あんま自暴自棄にならない方が……」
「みんなおれのことバカにしやがって! やってやる!」
「あっ、あゆむ……」

 

Y校の奴らとはまだ決着がついていなかったから好都合だぜ。あいつらの溜まり場のゲーセンでケンカを吹っかけると、予想通り一触即発の雰囲気になった。

 

「オラ、てめえB高の椎名だろ。誰に向かってケンカ売っとんじゃコラ」
「おお、おれはまさに椎名あゆむ様だ。てめーの流した血、献血ルームに持って行ってスタンプ押してもらうぞ、コラ」
「おお? お前の流した涙乾燥させて、おにぎりにつけて食っちまおうか、コラ」
「なんだと? スタンプたまったら記念品もらってお前に感謝しちまうぞ、コラ?」
「ああ? 博多の塩の隣に陳列してやろうか? いくらで売れば満足だ、コラ?」

 

ケンカを始める前には見栄を切るのが基本だ。おれは何パターンかを使いまわしているが、今回の、バージョン4の献血ルーム編は我ながらうまいこと考え付いたなと思っている。相手の見栄もなかなかオリジナリティがあって、おれは少し感心してしまったぜ。

 

「やんのか、コラ」
「そのつもりだ」
「おめー、1人で10人相手しようってのか? 他の仲間はどこ行ったんだ。特にあの憎たらしいツラした奴なんかはよ」
「……ケンジなんかいなくたって、てめえらごとき1人で充分なんだよ!」

 

掛け声と同時に飛び掛る。
右フック。
左エルボー。
右斜めハイキック。

面白いくらいに奴らが吹っ飛んでゆく。
ほおら、おれは強い。1人でも、ケンジがいなくてもおれは困らない。

 

「おれは強い男なんじゃ! 男なんかにヤられてたまるか!」
「は?」

 

おれは男らしいんだ。女の代用なんかさせられてたまるか。ケンジはずっと親友だと思っていたのに、あいつはおれのこと、そんな風には思っていなかった。いつもおれのこと見下してたんだ。

それにしても疲れた。さすがに1人で10人はキツいぜ。息が上がって、カウンターをくらうようになった。目の上が切れて視界も見えにくい。あ、やべ。

 

「うらあ!」

 

相手のパンチが左頬に入って、脳みそが揺れた。思いっきり地面に吹っ飛んで、そこを羽交い絞めにされる。

 

「はは、お前の負けだ。さあ、ごめんなさい、もう二度と立てつきませんって土下座しろよ」
「はっ、誰がするか。おれは、負けてなんか、いねえ」

 

おれは途切れ途切れの呼吸で強がることしかできなかった。まあ、いい線行ったよな。おれ、結構強かったよな。でも、誰が負けなんか認めるか。

 

「お前は負け犬なんだよ。女みてえなツラしやがって、本当は女なんじゃねえの?」
「んだと! おれは男の中の男だ!」
「違うね。お前は女だよ。ちんこついてるか確かめてやろうか。案外、いつもつるんでるあいつとヤっちゃってたりすんじゃねえの? 男子校だし」
「……や、やってるわけ、ねえだろが!」

 

お前らにまで疑われるおれって何? ワキ汗かいちゃったじゃねえか。

 

「何動揺してんだよ。もしかして、本当にやっちゃってんの? ははははは」
「よし、こいつ脱がしてみようぜ」
「そうだな。フルチンで土下座したら許してやるよ」

 

そう聞いて、おれのワキ汗は冷や汗に変わった。

 

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