切ない

くまの熊野

くまの熊野・1

 『運が悪かった』、それだけじゃ片付けられないこともある。だって失ったものは戻ってこないのだから。  熊野純平はサッカー部の後輩だった。
無常の花

無常の花・1

 十八時三十分、代々木体育館。 ライヴが始まる三十分前とだけあって人の流れが慌しい。大人気の来日アーティストのチケットはもう売り切れていて今日は満員なはずだ。しかし、おれはその流れから外れてひとりポツンと会場付近の人ごみを見やった。
短編小説

バーバリーのマフラー

真空に溶けてゆく息はいつも純白だった。 天気予報は、くもり時々雪。 今日の雲は、鉛筆の削りかすみたいな色をしていて、けして綺麗ではない。でも、このまま雪が降ればコントラストが美しいだろう。黒い雲から、白い雪が舞い落ちる。
短編小説

無敵の存在

秋山みひろはアホだ。もう、アホ、バカ、救いようもないほどバカ。 テストはいつも0点だし、ノートなんか真っ白だ。
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